No.23 供養ってなに?(令和4年2月号)

「なぜ供養をするのか」
「供養を行う二つの意味」

【はじめに】
 お彼岸(ひがん)やお盆(ぼん)の時期になると、私は、ご先祖様の彼岸(ひがん)供養(くよう)・盆(ぼん)供養(くよう)として読経させて頂きます。また、一周忌供養・三回忌供養など、故人様の年忌の節目でも、お経を読ませて頂きます。
 「供養」は仏教用語ですが、広く普及しているので、耳にされたことのある方が多いのではないでしょうか。特に、先に挙げたお彼岸・お盆・年忌供養のような、ご先祖様や故人さまの供養である追善(ついぜん)供養(くよう)は、馴染み深いと思います。しかし、「供養」という言葉の語源や本来の意味ついては、あまり知られていないように思います。
 本日は、「供養」とは何かを知ることを通して、「なぜ供養をするのか」について、改めて考えてみたいと思います。

【供養は贈り物】
 「供養」の語源は、インドの「プージャー」という言葉にあると考えられています。「プージャー」は「仏様や神様(諸天)などに供物を捧げること」を表し、「供物を捧げて仏様や神様を養う」という意味合いを含むことから「供養」と漢訳されたと思われます。やがて、仏様や神様だけではなく、ご先祖様や故人様に対しても供養を行うようになり、お香、花、灯明、飲食などの生活品をお供えするようになりました。
 しかし、お供えするのは「物」に限定されていません。例えば、日本に伝わった「十地(じっち)経(きょう)」というお経を見ると、物の供養の他に、敬(うやま)い讃(たた)えることや仏法を修行するなどの「行い」も供養となることが説かれています。そのため、供養の時にはお供え物をするだけでなく、お坊さんもお経を読むのです。
 すると、供養とは「贈り物」であるともいえるのではないでしょうか。例えば、誕生日会の楽しみの一つはプレゼントですが、歌やゲームなどの「行い」を楽しむのも、思い出深いものです。そして、何よりも「誕生日会に参加してくれた」という「行い」を、最も嬉しく感じると思います。
このように、追善供養を「故人様のための贈り物」と考えると、お線香やお菓子、果物などのお供え物の他、お坊さんの読経や法事への参加などの「行い」が故人様の深い喜びに繋がるといえるのではないでしょうか。

【動物供養について】
 日本人は神仏や人だけではなく、ペットなどの動物の供養も行います。日本では「ペットは家族」という認識が広まっているので、動物供養に対して違和感を覚える方が少ないのではないでしょうか。しかし、西洋の動物供養はお金持ちが行う例がほとんどで、一般家庭には広まっていません。また、研究の過程で亡くなったモルモットなどの供養に関しても日本では多くの例がみられますが、西洋ではほとんど例がありません。そのため、日本人の動物供養に対する熱心な姿勢は不思議に思われているようです。
 では、なぜ日本人は動物に対しても供養を行うのでしょうか。古くから、日本人は生活のために殺生(せっしょう)した動物に対して供養を行なっていました。動物は、食料となるだけではなく、服などの生活用品もなります。そのため日本では、鹿や猫、クジラやネズミなど大型・小型を問わず様々な動物の供養の例が見られます。
 大阪大学教授の中村生(なかむらいく)雄(お)さんは『祭祀と供犠』という著書の中で、「供養の文化とは、動物殺しの罪を事後も定期的に確認しながら、その罪責感情を宗教的に少しずつ浄化しようとする文化」と述べています。つまり、日本人は生きるために必要な狩や漁であっても、殺生することに抵抗を覚えていたのです。そして、殺生した動物を弔(とむら)うことを通して罪悪感などの「嫌な気持ち」と折り合いをつけていました。 
 これは、人形供養、扇供養、針供養などの物に対する供養にも当てはまることです。心を込めて供養することには、大切にしていた物を捨てる「嫌な気持ち」を和らげ、心の整理をするという一面もあるといえます。
 すなわち、「残された人々の心を整理する」いうのも供養の大切な一面です。ペットの供養は、罪の意識によって行われることではありません。しかし、ペットとのお別れは辛く悲しいことであり、供養を通して心を整理することは、前に進む為のきっかけになるのではないでしょうか。


【なぜ供養をするのか?】
 節目(ふしめ)の供養を習慣や通例として何気なく行われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「供養」には様々な一面があり、「故人様への贈り物」や「残された人々の心を整理する」という、重要な意味があります。
かけがえのない方で、お別れが辛いからこそ法事に参列し、心を込めて見送って差し上げることが、故人様とご自身のために大切なのではないでしょうか。
これから、供養の場を取りまとめられたり、法事に参列される際には、本日お話しした二つの面を意識して頂けたら幸いです。